珍味昔話|第五章

5-2|豊かな大地のめぐみ

肥沃な濃尾平野も、その豊かさにおいて、海や河川におとらない。日本を代表する野菜の宝庫なのである。

たとえば、肉質がやわらかく、ずんぐりしていて太い方領ダイコンは煮ものには最高の味で、ふろふき大根として高級料亭の目玉商品になっているほどだ。世界一長い守口ダイコンは二メートル近くも土中に伸びるが、蛇がとぐろを巻いたようなかたちで、小樽入りで売られている守口漬けも見ものである。

のちに徳川五代目の将軍となった綱吉がまだ若かったころ、江戸わずらいにかかった。ビタミン欠乏による脚気である。なかなかよくならないので、占いをたててみると、江戸城の西北にある「馬」の字のつく土地で養生すれば治ると出た。そこで、「馬」の字のつく「練馬」に別荘をつくり転地。療養中、たいくつしのぎに尾張からダイコンの種子をとりよせて畑に蒔いたところ、みごとなダイコンに成長した。

このダイコンはやがて「練馬大根」に育つことになるが、綱吉が用いた尾張のダイコンというのは、宮重大根といわれている。ダイコンを作りながら、畑の土を裸足でふみ、新鮮な野菜をもりもり食べているうち、綱吉の脚気はケロリと治ってしまった。″尾張ダイコン″の功徳である。
現在でも野菜王国としての伝統的な強みを持続し、ダイコン、キャベツの生産出荷額は全国一位である。レンコンの栽培も多く、海部郡の生産量は全国の80パーセントのシェアを占めている。はじかみ・生姜のことで料理素材としては欠かせない。和、洋、中華あらゆる料理に利用されている。その生産量も愛知県が日本一で海部郡の特産品として、全国の80パーセントを占めている。

愛知県は古くから「豆みそ」の産地だ。
「八丁みそ」、「三州みそ」、「名古屋みそ」、「尾張みそ」など、それぞれの生産地の地名がついている。日本最古のみそは、米や麦の麹を使わない大豆だけの豆みそで、古くは「鼓」と呼んだ。したがって、愛知県のみそはもっとも歴史のある「みそ」ということになる。

「八丁みそ」というのは、岡崎市八丁町で生産されたために、つけられた名前で、現在でも他のみそより長期間熟成させて製造されている。戦国時代には、日持ちがよくて栄養効果も高いところから、さかんに兵糧として用いられている。

とくに、徳川軍のいくところ、かならず兵卒の腰には握りめしと「八丁みそ」がくくられていたという。むかしから、三河女性の肌は美しいといわれてきたのは、八丁みそを常食してきたからである。同みそに含まれているリノール酸やレシチン、ビタミンEなどが、女性の肌をみがく上に大きく役立ってきた。

金城軒|珍味・おつまみの製造・卸・通販|愛知県名古屋市

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