珍味昔話|第三章

3-1|乱世には強い中京地区の男性

日本地図をひろげて、関ケ原にコンパスの脚を固定してみるとわかることであるが、当地から青森と鹿児島までの距離が、ほぼ同じなのだ。鈴鹿山系と伊吹山系にかこまれた、このせまい盆地は、日本のほぼ中央なのである。

関ケ原は、現在でいうと岐阜県であるが、戦国時代、当県も含めて中京地区から、天下盗り大名が三人も連続して登場した。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三人衆である。
これほど傑出した人物がなぜ同じ地域から輩出したのか。理由はいろいろ考えられるだろう。 京都に近いという地理的条件のよさ。
三人の連携プレーがよかったこと。
しかし、最大の理由は、三人の出身地の「豆みそ」にあったと筆者は推測している。

愛知県、岐阜県、三重県の三県は、他の県にはない豆100パーセントでみそを仕込み発酵熟成させて何百年間も食べ続けてきた。他の県は米こうじや麦こうじを使用して大豆を発酵させるのに、この三県だけはこうじも大豆で作ったものを用いてきた。

日本のみそとしては、もっとも古いタイプに属するものであるが、そのかわり、大豆の特性がフルに発揮されて、栄養的に特別な効果を生む。米こうじのいらない、大豆だけのみそには、アミノ酸化されたタンパク質はもちろん、健脳効果の強い天然グルタミン酸レシチン、ビタミンEが多いから、脳細胞の活性化に役立ち、すぐれた知能を育てる上で効果的なのだ。

さらに豆みそには、男性の精子の60パーセントを占めるアルギニンというアミノ酸が、多量に含まれている。ある大手の食品メーカーが、「男には男の武器がある」というコマーシャルで、強精ドリンクを発売しているが、その主成分がアルギニン。アルギニンをとっ続けていると、男性機能が強くなるだけでなく、行動的になって男っぽい人間に自然に変化していく。

時代によっては、アルギニン含有量の多い食べものは、決断の切れ味をシャープにし、作戦を大胆にする作用もする。したがって、戦国乱世のように殺ばつとした時代には豆みその風土からは、英雄や策士が生れやすいのだ。 それを実証したのが、織田信長に豊臣秀吉、そして徳川家康である。

ここでいう「豆みそ」は、三河みそ、あるいは三州みそ、赤だしであるのはいうまでもない。

金城軒|珍味・おつまみの製造・卸・通販|愛知県名古屋市

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