珍味昔話|第五章

5-3|きしめんと名古屋コーチン

名古屋は芸どころ、めん類とともに栄えた土地だ。
当地の「めん」ということになると、文句なしに「きしめん」。江戸は「そば」で上方は「うどん」、その中間の名市屋は「きしめん」で売った。

辞書を引くと、「棊子麺、平打ちにしたうどん。一名ひもかわ」とある。「ひもかわ」ともいう。
「芋川」の方は、江戸時代初期、東海道の芋川で作っていたからだと伝えられている。また、別の江戸初期の資料によれば、「むかし、鳴海辺の里に名物ひら打ちうどんあり」とある。
鳴海というのは、名古屋市緑区鳴海町のことで、当時、尾張藩主も、この “ひら打ちうどん” のファンだったという。

きしめんは、小麦粉に水と塩を加えて作るが、こね方も原料もウドンと同じ、ちがうのは厚みと巾だけである。ところが食べてみると、舌ざわりと風味がまるで羽二重のようなきめがこまかくて、なめらか。うまいきしめんを作るには、こねて平たく切った生のものを、その場で沸騰した湯に入れてゆで上げることである。同じめん類の「煮込みうどん」も名古屋の名物である。

名古屋のトリ肉はうまいというのが、東西の定評になっている。トリは、もちろんニワトリのことで、名古屋では「かしわ」と呼ぶ。名古屋のトリ肉が美味なのは当り前で、愛知県は日本一の「養鶏王国」。食肉専用の名古屋コーチンの本場なのだ。名古屋の「かしわ料理」の専門店は、自家用の養鶏園を持っているところが多い。

「名古屋コーチン」は、明治維新後、旧尾張藩主が産卵、産肉能力の高い地鶏を改良、これに中国から輸入したバフコーチンをかけあわせて誕生させたものである。歴史は100年そこそこしかないのに、赤みがかった黄金色の美しい羽根と、肉質のよさで全国的に知られるようになった。

いまでこそ「トリ料理」といえば、刺身をはじめフライ、からあげ、鍋もの、焼きとり、ワサビあえ、茶わんむしと多彩であるが、むかしは、すきやきが中心だった。名古屋では、「かしわ鍋」のことを「ひきずり」というが、風土にマッチした大衆的な味である。

金城軒|珍味・おつまみの製造・卸・通販|愛知県名古屋市

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