珍味昔話|第四章

4-2|江戸漬けの作り方

一般的にいって、漬けものは栄養というよりも、嗜好的な食べものだから、味と香りがたいせつになる。この二つの要素を塩圧や発酵によって引き出すために、漬け方や材料をさまざまに工夫がこらされた。

漬けもの本来の目的は、野菜の保存が第一であったが、江戸時代になると、ぬかみそ漬けや浅漬けが歓迎されるようになる。旬のものを新鮮な状態で食べるには、浅漬けの方が合理的なのである。

江戸時代の漬けものに用いられた素材は、つぎのようにバラエティーに富んでいる。

大根、かぶら、なすび、ごぼう、里いも、ふき、うど、みょうが、たで、きゅうり、たけのこ、またたび、しそ、しょうが、ぼうふう、はす、人参、さんしょう、こんぶ、やまもも、小梅、ところ、にんにく、しろうり、からしな、まつたけ、いとな、ささげ、なたまめ、つくし、なし、かき、わさび、すいか、梅、きく、とうふ、らっきょう、からすうり、せり、わらび、きのめ、大豆、みづな、とうがらしなど。

山野や野草、くだもの、豆、豆腐と実に千変万化である。

奈良漬け
粕漬けは奈良時代からあり、うりやしょうがなどが材料にされている。
奈良は古くから良質の酒で知られていたが、酒をしぼるときに″粕″が出る。この「酒粕」でうりを漬けたのが、「奈良漬け」のおこりで、味が甘美なために有名になった。
うりの粕漬けをいつごろから「奈良漬け」と呼ぶようになったかは不明であるが、室町時代に「香のもの奈良つけ」ということばが出てくる。
江戸時代になると、酒造業の発達もあって、粕漬けは各地で用いられ、うりばかりでなく大根やなすなども漬けられた。
 
やたら漬け
うりやなす、とうがらしなどを刻み、塩辛くした醤に漬けたもの。
たくあん大根の味が少し変わってしまったものでもよい。切って漬けこむ。
しその実、しようがを混ぜると風味が出る。かやく漬けいろいろな漬けものを切り刻み、酒と醤油で調味したもので、福神漬けの原形である。
 
無尽漬け
出盛りのものをなんでも取り合わせて塩漬けにしたもので、『料理物語』では、つぎのような素材をあげている。
山椒の皮、きくらげ、梅干し、たけのこ、たけのこの甘皮、こんぶ、ほんだわら、しょうが、ぎんなん、みょうが、ごぼう、小梅、やまもも、ところ、れんこん、みかんの皮、人参、青のりなど。
 
酢漬け
酢一升に塩三合を混ぜて素材を漬け込む。
材料はみょうが、しょうが、梅、やまもも、たけのこ、うど、ぼうふう、れんこん、人参、山椒、しそ、またたび、その他いろいろ。
 
どぶ漬け
ドブロクにみそを混ぜ、うり、大根、なす、しょうがなどを漬けたもの。
 
南蛮漬け
酢漬けの一種で、酢、酒、塩を煎して、小魚や野菜を漬けこむ。

金城軒|珍味・おつまみの製造・卸・通販|愛知県名古屋市

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